日本医学育毛協会設立の趣旨

日本医学育毛協会 会長よりご挨拶

1994年、日本医学育毛協会設立時には、臨床的・研究的にも“髪の毛”に興味を示すお医者さんはほとんどいませんでした。「ハゲとインポは治らない」と医者の間でも言われる時代でした。

そんな時代背景の中で、医局の後輩だった桑名隆一郎先生が、毛母細胞の培養を始め、その培養細胞に色々な物質を加えることにより、細胞分裂のスピードを速めたり、細胞を長く生かすことができるという実験をコツコツと始めました。そして、その実験をもとに育毛剤を作り、臨床的に使用したところ、従来にない良い結果が得られました。

それをきっかけに、抜け毛に悩む患者さんのためになればと考えて、髪の毛に興味を持っておられるお医者さんに呼びかけ、日本医学育毛協会を立ち上げました。今から考えてみると、“たかが髪の毛、されど髪の毛”といった時代の幕開けであったように思います。

ひとたび実験方法が確立されますと、あとは同様の実験により、有効物質は証明されて行きます。現在では多くのメーカーで、同じような実験をもとに良い育毛剤が開発されており、その結果、育毛剤全般の有効性は大いに上がってきています。

10年ほど前にアメリカで前立腺治療の内服薬が開発され、その新薬を服用した患者さんの中に髪の毛がフサフサしてきた人がいた、という学会発表がされました。この新薬が、平成17年12月より日本でも市販が許可された、プロペシア(成分名フィナステライド)です。

狭心症の治療薬を開発しているうちに、インポ(ED)にも有効なバイアグラが出てきたのと同様に、主作用よりも別な作用が強く表に出て有名になる薬も、医学の世界ではよくあることです。

全身毛深いのに頭頂部だけ髪の毛が少ない人がいますが、そのような人の頭頂部の毛母細胞の周辺には、男性ホルモンを効かなくさせる物質が多量にできて、それが髪の毛の成長を抑え抜け毛の原因となることが、プロペシアの開発によってわかってきました。

私も8年ほど前(平成12年)から、研究目的でアメリカからプロペシアを個人輸入して、自分でも使用してみましたが、効果は外用薬に比べて数段高いなと感じていました。患者さんにも協力していただき、効果を判定してもらいましたが、やはり外用薬より効果は上とのことでした。

医学の進歩はめざましく、“ハゲもインポも治らない”時代から、“ハゲもインポも薬で何とかなる”時代に変わってきました。そしてハゲに関して言えば、育毛剤も良くなり、内服薬も簡単に手に入る時代に変わってきました。飲む育毛剤プロペシアは、現在では、お医者さんで処方せんを書いてもらえば、誰でも手に入れることができますので、30歳以上の男性で抜け毛に悩んでおられる方には、第一の選択肢であろうと考えます。

これとともに、日本医学育毛協会もその役目を果たして、ひとつの時代が終わったのではないかと感じております。したがって、甚だ勝手ではありますが、日本医学育毛協会は活動を休止させていただきます。協会設立にご尽力いただいた理事の先生方、これまで協会を支えてきて下さった加盟病医院の先生方に、心から感謝して御礼申し上げます。

(フクタ皮フ科院長 福田金壽医師)