発毛と脱毛のウソ・ホント

『よみがえる黒髪』より

白髪の人はハゲない

この問題を考えるにあたって今、脱毛症外来を受診した患者さんの、頭部写真を眺めております。 何百人もの写真を並べてみて・・・・・ウーン、います、います、白髪で若ハゲの人が・・・・・。 そうです、白髪の人もそうでない人もハゲるのです。 毛の根っこには“毛をつくる毛母細胞”と“黒色の色素をつくるメラニン色素”とがいます。 そして、前者がだめになればハゲに、後者がダメになれば白髪になるわけです。 さらに、両方がダメになればどうでしょうか・・・・・そうです、白髪のハゲになるわけです。

ところで、円形脱毛症においては、しばしば新しく生えてくる毛は白髪です。 この理由はハッキリしませんが、円形脱毛症を引き起こす要因(たとえばストレスによる血液循環障害など)が、メラニン細胞のほうに“より多くのダメージ”を与えるからかもしれません。 その結果、毛母細胞が復活して毛が生えてきても、メラニン細胞はまだ色素をつくれないため、生える毛は白髪というわけです。 また、「ショックのため一夜にして白髪になった!」という話も聞きます。 これは白毛・黒毛が混在する“ゴマ塩頭の人”が、頭髪全体が抜けるようなひどい円形脱毛症にかかり、白髪よりも黒い毛が多く抜けた結果、白髪のみが残ってしまったからでしょう。

ハゲにガンなし?

このフレーズも、しばしば耳にします。 そういえば、ハゲの多い白人はハゲの少ない日本人よりも、はるかに胃ガンが少ないが・・・・・この説は本当なのでしょうか?1969年、ある医師がこの俗説を検証するため、男性型脱毛症と胃ガンとの関係について調べました。正常者7,082人、胃ガン患者663人をリストアップし、それぞれ男性型脱毛症の人の割合を産出したところ、正常者では10. 8%に対し、胃ガン患者ではわずかに4.5%と低値だったのです。つまり、胃ガンに関する限り、この俗説は的を得ていたことになります。

どうしてこうなるのかは、推測の域を出ませんが・・・・・おそらくホルモンバランスの問題ではないでしょうか。男性ホルモン優位の人、すなわち、性ホルモンのバランスが男性側に傾いている人は、「ハゲやすいが、ガンには抵抗性である」といえそうです。

ハゲは遺伝だから治らない?

これは、ある意味では正しいし、受け取り方によっては誤りといえそうです。ここでは糖尿病とか高血圧症など、ハゲと同様、ある程度遺伝するといわれている病気と比較してみましょう。これらの病気は治癒しません。つまり、ある一定期間治療すれば「完全に治ってしまって、もう二度と治療しなくてもよい」という状態にはならないのです。糖尿病では一生、インスリンのお世話にならなくてはなりませんし、高血圧症では降圧剤とは一生縁が切れないのです。そういう意味では確かに治らないのです。しかし、治療することはできます。糖尿病も高血圧症も、適当な薬剤でコントロールすれば、ほとんど健康人と同じ生活を営むことができるのです。ハゲも同様で、上手に治療すれば、ほぼ元の状態にもってゆくことも夢ではないのです。「ハゲは・・・・・治らない」というと、いかにもまったく治療法がないように聞こえますが、そうではないのです。正確には「ハゲは治癒しないが、有効な治療法はある」というべきでしょう。

年寄りのハゲは治療してもダメ?

実は男女とも青壮年よりも高齢者のほうが、かえって治療に反応しやすいのです。つまり、この俗説は正しくないわけです。しかし、ある一定の年齢以上ではやはり、治療効果が期待できないようです。高知赤十字病院皮膚科の脱毛症外来には、最高91歳の方が受診されましたが、やはり生えなかったようです。では、何歳までなら0Kか・・・・・ということになりますが、これはもう、ケース・バイ・ケースでしょう。例えば20歳の人が10人いれば、10人とも同様に体力があり元気です。ところが、お年寄りの体力は非常に個人差が大きく、極端なことを言えば100歳で歩ける人もおられますし、70歳で寝たきりの方もいるのです。しかし、一般的には元気で他に特に多きな病気のない方ならば、少なくとも70歳くらいまでは育毛効果が期待できそうです。

ワカメ、コンブを食べていればハゲない?

これも、どう考えても怪しい説です。「これさえ食べていればハゲない!」という、ハゲに特効的な食物などありません。 コンブなどの海草類に特徴的な栄養分はヨードでしょう。このヨードが不足すると確かに毛髪のツヤが悪くなりますが、通常の日本人の食事でこれが不足することはまずありません。まして、必要以上にヨードをとっても、毛が生えるとはとても思えないのです。確かにコンブは長くてユラユラしていて、何となく豊かな黒髪を連想させますが、“コンブの根っこ”““毛母細胞”とはまったく別なものと考えてください。もちろん、「コンブを食べてはダメ」というわけではありませんが、そんなことより、毛を作るのはタンパクですから、大豆、豆腐、魚などの良質なタンパク質を十分にとりましょう。そしてビタミンCやEも同時に摂取すれば、更に効果的でしょう。

ヘルメットをかぶればハゲる?

ヘルメットに悩む方は意外に多く、警察官や工事現場の方から「毛が薄いが、ヘルメットをかぶっても大丈夫でしょうか?」という質問をよく受けます。ヘルメットが毛髪に悪影響を及ぼすとすれば、ひとつには夏期の高温でしょうし、もうひとつには皮膚の不潔でしょう。汗や皮脂の多い頭皮を蒸し込んで暖めれば、細菌にとっては“絶好の繁殖場所”になり、毛穴に炎症を起こすでしょう。そしてこの炎症によって皮膚が腫れれば毛穴が塞がり、さらに細菌は増殖してゆくのです。ハゲの直接の原因ではないにしろ、この炎症が毛髪にいいはずがありません。

この悪循環を断ち切るには「ヘルメットをかぶらなければベスト!」ですが、必要があってかぶっているものですから、やめるわけにもいきません。毛は助かっても、大怪我でご本人が亡くなってしまっては元も子もありません。 では、どうすればよいのでしょうか。まず、ヘルメットをかぶる時間を最小限にし(特に夏期)、よく頭を洗って清潔にすることです。そして、ある人から聞いた話ですが、ヘルメットには意外に簡単に穴が開けられるそうです(ドリルで)。夏用のヘルメットに、小さな穴をたくさん開けて、風通しをよくしましょう。きっと、何らかの効果があるでしょうし、“ハゲないだろうか?”という心配が減って、精神的にもいいはずです。

(※日本医学育毛協会からのお知らせ:ヘルメットに穴を開けると、ヘルメットの強度を低下させ、本来の衝撃吸収性能 (つまり安全性)を大幅に損なう可能性がある、というご指摘をいただきました。ご注意ください。)

ハゲに悪人なし?

これはなんとも面白いフレーズですね。ウソのような、本当のような・・・・・。そう思いながら新聞に目を通します。 毎日のように犯罪の記事が載っておりますが、政治家の贈収賄罪が最も目につきます。では、政治家の偉い方々にはハゲはいないのか・・・・・そう思ってテレビの国会中継を見ると・・・・・いるわいるわ、バーコードタイプやカッパ型などなど。ウーン、こうしてみるとこの説は大ハズレ、大ハズレ!

戻る