1、気になる“ヘア”に注目

『よみがえる黒髪』より

まえがき

遺伝的体質に老化現象が加わって「髪の毛が薄くなる」のはごくありふれた現象であって、生命になんら関係するものではありません。しかしながら、実際問題として世間の多くの人々がハゲで悩んでいます。最近では、男性ばかりではなく、女性の方にも多くみられるようになりました。

「ハゲを治すなんてしょせん無理な話で、カツラ屋さんに任せておけばいいんだ。医者ともあろうものがそんな下世話な問題に関心をもつ必要はない!」こんな発言をよく医師会などで耳にします。しかし、そういうことを言っておられた偉い先生方が、中国の「101」とか「102」とかが話題になった時には我先にと買いあさり、頭にふりかけておられたのです。少なくとも医学界ではハゲに関しては市民権がないようですが、医者も人の子であり、わが身のハゲに関しては大きな興味をもっているようです。

クォリティ・オブ・ライフという言葉が叫ばれる現在、このように多くの方が悩んでいるハゲに対して、医師としても何らかの医療を提供してゆかなければ・・・・・と思います。それにはまず、従来の考え方を捨て、このハゲという病気(?)に真っ正面から取り組むことでしょう。その原因を究明し、予防法を考え、さらに適切な治療を施すのです。もちろん限られた人員による研究になりますが、それを根気よく続けてゆくことが大切です。

一口にハゲといっても、その程度、タイプ、年齢、性別などによって多くの種類があり、“治りやすいハゲ”もあれば、逆に“治りにくいハゲ”もあるのです。また、その治療法も内科的治療法(育毛剤の外用)、外科的治療法(植毛など)、あるいはカツラ着用などさまざまで、各人に最適の治療法を選択し、施行しなければなりません。

しかし、もちろん最終ゴールは育毛剤により「患者さん自身の毛をよみがえらせること」でしょう。ハゲで悩む人の大部分を占める“若ハゲ”では、“カツラ”をかぶっていても“人工の毛”を植えても、患者さんが心の底から満足することはないと思います。これらの手段によって外見のカバーはできても、自分がハゲているという負い目をなくすことはできないからです。この負い目のために仕事や恋愛などに消極的になっている方もおられることでしょう。そういえば・・・・・わたしが大学を卒業したころ、ある知人が、ゴルフのバンカーショットの最中には「頭が光るからバンカーにだけは入れるな」、夜のカラオケで下に置いた楽譜を見ながら歌っているときには「まぶしいからやめてくれ」といわれ、すっかりクサっていた・・・・・そんな光景が思い出されます。

1995年6月

桑名 隆一郎

次ページへ