1、気になる“ヘア”に注目

『よみがえる黒髪』より

抜け毛と老化

老人性脱毛という言葉が用いられることがあります。これは動脈硬化などの老化現象による毛包の破壊消失と考えられており、三十代から八十代までに毛包の数が約三八%減少するものです。ということは、生えてくる毛よりも脱落する毛の方が多いわけですから、ある時期までは硬毛、軟毛とも抜け毛が多うなります。しかし、頭髪の総数が減少してくると抜ける毛も次第に少なくなってきます。ただ、この老化による脱毛は全身状態と同様、個人差が大きいようです。二十歳のころは皆元気ですが、七十歳になると、ほとんど寝たきりの方もいれば、まだ車を運転できるほど元気な方もいるといった具合です。どうしてこのような差がでるのかははっきりしませんが、生来の体質が生活様式やストレスなどによって修飾された結果なのでしょう。また、白髪も脱毛と同様に老化によっても発症しますが、脱毛とは独立した現象であり、「白髪であればハゲない」ということはありません。

このように、老化による脱毛が存在することは間違いありません。しかし、実際に当科を受診されている患者さんを分析してみますと、六十歳以下の方が圧倒的に多く、脱毛の原因としては老化よりも遺伝や生活様式、ヘアケアなどが大きく関与しているようです。

あきらめる前に

ハゲは遺伝だから・・・・・、年だからといって治療をあきらめてはいないでしょうか。また、手当たり次第にいくつかの市販の育毛剤を外用し、「やっぱりダメだ!」といって手入れを怠っている方はいないでしょうか? しかし、「遺伝性疾患である=治療できない」ではありません。例えば糖尿病なども遺伝性疾患ですが、インスリンで立派にコントロールされているではありませんか。

男性型脱毛症も、男性ホルモンの影響が強く出る前頭部では治療が困難ですが、老化の要素が強いといわれる頭頂部ではかなりの育毛効果が期待できます。

女性のびまん性脱毛症では男性ホルモンの影響がなく、老化の要素が強い頭頂部中心の脱毛ですので、男性よりも治療に反応しやすいと言われています。さらに若い方よりも高齢者の方が有効率が高いというデータも出ています。

皆さん、最初からあきらめないで一度、皮膚科専門医を受診されることをお勧めします。最後に笑えるように・・・・・。

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