2、あなたにできる脱毛予防

『よみがえる黒髪』より

今からでも遅くない

多くの人を悩ます“若ハゲ”は青年期以降の男女に起こり、加齢と共に進行してゆきます。そこで早く治療を始めるほうがよいのは当然で、「もう、年をとりすぎたからダメでしょうか?」とか、「年寄りでも薬をもらえますでしょうか?」という質問をよく受けます。それに対してわたしはいつも「いやいや、かえって年配の方がよく生えるんですよ。今からさっそく治療を始めましょう」といいます。実は、かくいう私も脱毛症外来で多くの方を診察するまでは「老人はダメだ!」と信じていたのです。ところが、後ほど詳述しますように、かえって高齢者のほうが生えやすいことが分かってきました。二十歳の方と六十歳の方がいれば明らかに六十歳の方のほうが生えやすいのです。この理由はハッキリしませんが、どうも若いほど男性ホルモンの働きが強いためではないか・・・・・と推測しています。また、若く発症するほど、脱毛しやすい体質が強いのかもしれません。とにかく、「遅すぎる!」ということはないのです。極端な一例を紹介しますと・・・・・親子で脱毛症外来にかかっている人がいました(男性型脱毛症は遺伝するのでこのような親子は珍しくない)。当然、親のほうが進行しています。ところがいつのころからか息子さんは受診しなくなり、お父さんのみ加療していました。そしてある日、久しぶりに二人がそろって受診したところ、なんと息子さんのほうがはるかに薄くなっていたのです!

もちろん、このように遅くても十分治療はできますが、早ければそれにこしたことはありません。発症してから早く治療するほうが脱毛の程度が軽いため完治しやすいですし、満足感が得られやすいのです。経度の脱毛巣なら少し生えれば治ったように見えますが、広範囲になると多少境界部に生えても「脱毛の進行が止まったかな?」という程度で、「良くなった!」という実感に乏しいようです。

では、どういう時が髪の危険信号でしょうか? ひとつには抜け毛が増えた時です。人の毛は約十万本で毎日五十〜百本が脱落し、同数の毛が新しく生えてきています。この程度の抜け毛なら心配ありませんし、数週間で収まるような秋の抜け毛も大丈夫です。ところがこれを大幅に上回るような抜け毛は要注意で、専門医の診察を受けたほうがよさそうです。また、逆に育毛剤が効いてくるとこの抜け毛が減ってきます。

もうひとつは毛が小さくなった時です。日本人は欧米人よりも毛が太く、その太さのピークは男性で十代、女性で二十〜三十代です。男女とも加齢と共に、また、男性型脱毛症、女性のびまん性脱毛症の発症と共に毛が細く、柔らかくなります。「最近、猫毛になった!」といって受診される患者さんはたいていハゲています。そして育毛剤が効いてくると再び毛が太くなってくるのです。

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