2、あなたにできる脱毛予防

『よみがえる黒髪』より

ヘアケア、頭皮ケア

シャンプー、リンスの使い方

まず、シャンプー、リンスについて簡単に説明しておきましょう。

シャンプー・・・
髪、頭髪を清潔にする洗浄剤で、陰イオン界面活性剤を含みます。脱脂効果の程度によりドライ、ノーマル、オイリーヘア用があります。
リンス・・・・・
毛の表面に被膜を形成し、シャンプーによる過度の脱脂を補って毛を健やかに、美しく保ちます。女性、長髪の男性は、洗髪後リンス・トリートメントによる毛表面の保護が大切です。

これらシャンプー、リンスに含まれる界面活性剤、フケ止め剤による皮膚障害がありますので、自分の毛、頭皮に合ったものを使用してください。そして、洗髪後、よく洗い流しておくことも大切です(現在のリンスに含まれている油分、陽イオン界面活性剤は洗い流しても毛に付着したままなので洗髪後、よく髪をすすいでも大丈夫です)。よく、育毛用のシャンプーというのを耳にしますが、これらの洗浄剤は使用後洗い流しますので、頭皮への残留分は千分の一程度です。したがって、これら単独ではほとんど育毛効果はないようです。

では、これらの洗浄剤を用いて実際にどのように洗髪すればよいのでしょうか? 抜け毛の原因のひとつとして“過度の洗髪による皮膚障害”と“不潔によるフケ、アカによる毛穴の閉塞”が言われています。これから導かれる結論は“頭皮を清潔に保つのに必要最小限の洗髪をする”ということになります。多くの患者さんを診ておりますと、シャンプーは一般に一回/三日、あぶら症の人でも一回/二日程度が良いようです。毎日の洗髪は多すぎますし、二回/日(いわゆる朝シャン)は論外でしょう。ただし、水(湯)洗いならば毎日でも結構です。具体的な洗髪法としては髪全体を泡だて、指腹で髪・頭皮を軽くこすります。この時、皮膚にツメをたてないでください。皮膚炎のもとになりますから。薄い部分をきれいにしようとゴシゴシこする方がいますがこれは逆効果で、毛が擦り切れてよけい薄くなる場合があります。

また、フケ症の方もたまにおられます。このフケは頭皮の角質組織がはがれ落ちたもので、いわば頭皮のアカです。このフケを頭皮の微生物が分解するとその分解産物の刺激でかゆみ、ひいては脱毛が起こります。したがってフケ症の方はよく洗髪して頭皮を清潔に保つことが必要です。

ヘアタイプ別シャンプーの選び方

皮脂は毛包にある脂腺から出て頭皮表面に広がり、加水分解を受けてから毛幹部に広がっていきます。毛髪を健康に保つには適度の皮脂が必要ですが、加齢に伴って頭皮皮脂量は減少してゆきます。この頭皮皮脂量には個人差があり、多すぎてアブラぎっている方も、また逆に、乾燥してカサカサの方もおられます。皮脂が多すぎるとその刺激で皮膚炎を起こしたり、毛穴が詰まって毛包炎を引き起こしたりしますので、オイリーヘア用のシャンプーでよく洗髪してください。逆にカサカサの場合は、洗髪回数を減らしてドライヘア用シャンプーを使用し、また、できれば整髪料で油分を補ってください。

 フケ症の方も皮脂が多い場合はオイリーヘア用シャンプーで、皮脂が少ない場合はドライヘア用シャンプーで洗髪していただくわけですが、普通よりもよく洗髪してフケを洗い流すことが大切です。また、ジンクピリチオンなどのフケ止め剤入りシャンプーを使用することもありますが、このフケ止め剤はカブレを起こしやすいので頭皮の赤みやかゆみが強い場合は使用しないでください。

さて実際に店頭でシャンプーを購入する場合、そのタイプの目安となる成分表示はあるのでしょうか? オイリーヘア用シャンプーは軽くサラサラした仕上がり間が必要なので、シリコンなどが用いられています。ドライヘア用シャンプーでは油分による被膜形成および保水成分の補給が必要なので、油分としては各種の植物油・ラノリンが、保水成分としてはセルロース・コラーゲンなどのタンパク分解物などが配合されています。しかし、前記の成分は表示義務がないため実際には記載されないことが多く、シャンプーのボトルのオイリーヘア用/ドライヘア用という表示に頼るしかなさそうです。

また、これとは別に弱酸性シャンプーがあり、安全性が高いとPRされているようです。確かにこのシャンプーには低刺激性のアミノ酸系界面活性剤が使用されていますが、これはシャンプー原料としては高価で使用感が悪いため、通常は従来の界面活性剤とブレンドして製品化されています。このことでもうお分かりかと思いますが、弱酸性だからといって必ずしも安全とはいえないのです。

ドライヤーの使用法

洗髪後に髪を乾かすわけですが、この時、ドライヤーを使用する方がいます。このドライヤーの高温は皮膚にどのような影響を及ぼすのでしょうか? 皮膚ガンの場合、“温熱療法”といって皮膚を暖めてガン細胞の増殖を抑制する治療法がありますが、このように人の細胞は高温(特に四十℃以上)に弱いわけですから、できればドライヤーを髪に近づけない、一カ所に集中させないなどの工夫が必要です。

ブラッシング

毛と毛並みに沿って一本一本並べておくのが目的で、手技的にはまず、毛先のもつれをとき、次に毛の中程、最後に毛の根元という順にといてゆきます。頭皮の汚れをとり、フケを除き、皮脂を毛先までゆきわたらせるだけでなく、ちょっとしたマッサージ効果もあります。ブラシの毛で軽く頭皮をこすれば、タッピングとまではいかなくとも皮膚の血液循環もよくなろうというものです。硬質の金属ブラシは毛表面を傷つけ、ナイロンブラシは静電気により枝毛を誘発するので好ましくありません。目の粗い木のくしや、硬毛のブラシが勧められます。

整髪料

ヘアスタイルを整え、セットしたヘアスタイルを長持ちさせるのが本来の目的ですが、同時に毛髪に油分、水分を与えて健やかに保つことができればそれにこしたことはありません。そのため整髪料にはセット力を高めるためポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子化合物が、油分としてエステル油などが、また、水分を保つためにグリセリンなどが配合されています。整髪料には油性整髪料(ヘアオイル、ポマードなど)、乳化整髪料(ヘアクリームなど)、液体整髪料(ヘアリキッドなど)など多くの種類がありますが、実際にはヘアクリームなどの乳化された油脂類で十分といわれています。女性がおもに使用している整髪料には泡状のムースタイプ・霧状のミストタイプなどがありますが、いずれにせよ、これらの整髪料は特に毛に障害を与えませんので安心して使用できますが、育毛剤を同時に使用する場合は先に育毛剤を使用してください。

育毛剤とマッサージ

毛が薄くなって恥ずかしながら(?)店頭で、育毛剤を購入したが、果たしてどのように使用したらよいか分からない・・・・・という方もおいでかと思います。育毛剤は大きくわけて、【1】男性ホルモンの働きを抑えるホルモン剤、【2】毛包の血液循環を良くする血管拡張剤、【3】糖分・ビタミンなどの栄養分を含有する栄養剤などがあります。【1】は副作用などの点からあまり使われていません。【2】【3】は併用しても結構ですが、抜け毛のみの時は【2】単独でも効果が期待できます。明らかな脱毛があり、頭皮が透けて見える場合は【2】のみでは不十分で【3】が必要です。外用方法は毎日2回(朝、夕)が原則ですが、忙しい方は夕のみでも結構です。ただ、朝のみ一日一回というのは感心できません。なぜなら、頭と心臓が同じ高さになり(心臓より高い部位へは血液が流れにくい)、体を動かさないため筋肉への血液が不要であり、“頭皮への十分な血液循環が期待できる就寝時”こそ、育毛剤が効果を発揮する時間帯なのですから・・・・・。

次に育毛剤とマッサージについても考えてみましょう。

子供のころはだれでも頭皮にゆるみがありますが、大人になると個人差が大きくなり、ゆるい人とつっぱっている(ゆるみがない)人がいます。そして加齢と共につっぱっている人が増えてくるようです。このゆるみと脱毛の程度は必ずしも一致しません(すなわち、ゆるくてもハゲている人もいるし、その反対の場合もある)が、やはり、畑が柔らかいと大根がすくすく伸びるように、頭皮も柔らかいにこしたことはありません。また、柔らかい方が血流も良くなるはずです。

育毛剤外用時にマッサージを併用している方も多いかと思いますが、このマッサージには頭皮の緊張(つっぱり)を緩め、頭皮の血流を良くするという働きがあります。そしてある程度の効果も期待できるようですが、やり方によっては逆効果となります。

正しいマッサージ法を図に示します。すなわち、入浴時、両側頭部の皮膚を指腹で押し上げ、頭頂部の皮膚を緩めます。次に同様に前頭部、後頭部の皮膚を押し上げるのです。こうすれば毛が薄い頭頂部をこすることなく、この部分の緊張をとることができます。直接に患部をこすると毛小皮が破損されて剥離・脱落し、その結果、毛皮質も破壊されてしまい、切れ毛、枝毛を誘発します。昨年、ある高齢の女性が脱毛症外来を受診し、加療したところ、かなり毛が生えてきました。そこでこの方はなんとかもっと生やそうと必死になり、すさまじい勢いで患部をマッサージし、たたき続けました。ところが、本人の意に反し、マッサージをすればするほど毛が薄くなり、とうとう最後には元より毛が薄くなってしまいました(アーア、残念!)。頭皮の硬い方、どうか正しい方法でマッサージをしてください。

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