3、よみがえる黒髪

『よみがえる黒髪』より

臨床試験

これまでの実験結果から桑白皮エキス、柿葉エキスがきわめて有効な育毛剤であることが推測されました。しかし、実際、脱毛症の患者さんに外用していただいて、発毛作用がなければ何の意味もありません。そこで、当科脱毛症外来を受信された患者さんの中で、適切と思われる方にこれらのエキスを外用していただきました。そして予想どおり(?)劇的な発毛効果を認めたのです。では、さっそくその“発毛効果”について話を進めましょう。

1、試験方法
  1. 被験者

男性型脱毛症患者 209名(26〜71歳)
女性のびまん性脱毛症患者 72名(32〜80歳)

  1. 被験薬

桑白皮エキス単独(0.7%濃度)
柿葉エキス単独(0.35%濃度)
桑白皮エキス、柿葉エキスの等量混合物(各濃度は前記と同じ)

この三つのパターンで臨床試験を行いましたが、いずれもほぼ同等の結果が得られました。そこで、ここではこれらの結果をまとめて報告します。ただ、硬毛の新生を認める著明改善の割合は、各エキス単独よりも両者の混合物の方が若干良い成績が出ています。

  1. 外用量、外用方法、外用期間

一日二回(朝、夕)、一回2mlを脱毛部に塗布しました。外用期間は三〜六カ月としました。

  1. 臨床評価の基準
  • 観察項目
    軟毛、硬毛の新生を治療前後の写真撮影で観察、評価しました。他の育毛剤と異なり、抜け毛の増加、減少は観察項目から除外しました(患者の主観が結果を左右し、客観性に乏しいため)。
  • 改善度
    下記の三段階で評価しました。
     著明改善:硬毛の新生を認める
     改善:軟毛の新生を認める
     不変:毛髪の新生なし
2、試験結果
  1. 男性型脱毛症
  • 改善率
    次に記すとおり、すばらしい成績が得られました。すなわち60%の人に何らかの発毛がみられ、さらに15%の人には硬い毛が生えてきたのです。いずれも頭頂部の脱毛巣に著明な発毛がみられました。
     著明改善:15%(31/209)
     改善以上:60%(126/209)
  • 改善度
    おもな著明改善例の臨床写真については、『男性型脱毛症の症例』として掲載しておりますのでご覧ください。
  1. 女性のびまん性脱毛症
  • 改善率
    次のように、男性型脱毛症よりもさらにすばらしい成績が得られました。すなわち、67%の人に何らかの発毛がみられ、さらに25%の人には硬い毛が生えてきたのです。いずれも女性特有の頭頂部の脱毛巣に著明な発毛がみられました。
     著明改善:25%(19/72)
     改善以上:67%(48/72)
  • 改善度
    おもな著明改善例の臨床写真については、『女性のびまん性脱毛症の症例』として掲載しておりますのでご覧ください。

このように男性型脱毛症よりも高い改善率が得られたのはなぜでしょうか? それは女性のびまん性脱毛症では、男性ホルモンが関与していないからでしょう。男性型脱毛症では、老化などの“女性のびまん性脱毛症の発症要因”に加えて、さらに男性ホルモンが災いしているため、その分改善率が悪く、難治となると思われます。

※外用エキスの濃度について

すでに述べましたように桑白皮エキスは0.7%、柿葉エキスは0.35%濃度で使用しました。濃度を濃くすると皮膚にさまざまな刺激反応が出たり、色や匂いがきつくなって使用感が悪くなります。また、価格的に高価になるのもマイナス要因でしょう。一方、濃度を薄くすると効き目が極端に悪くなってしまうのです。そこで、これらの要因を考慮してベストな濃度を決定したわけです。生薬類を主成分とする育毛剤はたくさん市販されていますが、それらの濃度はおおざっぱに言って、桑白皮エキス、柿葉エキスの十分の一〜百分の一です。もちろん、生薬の種類によってベストな濃度は異なるわけですが、それにしてももう少し濃くないと効き目が悪いような気がします。

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