3、よみがえる黒髪

『よみがえる黒髪』より

育毛効果に影響する因子について ―病型、病期、年齢、季節など―(前編)

これまでの話から、桑白皮エキス、柿葉エキスがとても有効な育毛剤であることがお分かりいただけたことと思います。そこで、次に皆さんが気になるのは・・・・そう、果たして「自分の頭にこのエキスが効くのだろうか」という点でしょう。一口に脱毛症といってもいろいろな種類があり、また、脱毛の程度や患者さんの年齢なども異なります。そして、それらによって当然、育毛効果も違ってくるはずです。

この項目では、これらの因子が育毛効果にどのような影響を及ぼすのか、さらにはズバリ、あなたの頭にも発毛が期待できるのかできないのか・・・・について述べます。これまでの育毛剤にはなかった画期的なデータです。この本で私が言わんとするのはまさにここなのです! さあ、読んでみてください!

1、男性型脱毛症

この脱毛症では、すでに述べましたように60%の人に何らかの発毛が、そして15%の人に硬毛の新生が見られました。ここでは「どういう人によく効くのか?」についてさらに詳しく述べましょう。

  1. 病型、病期別改善率

病型とは脱毛のパターンのことであり、図のようにI型からIV型まであります。病期とは脱毛のステージ(進行の程度)のことであり、初期、中期、末期に分かれます。さて、それぞれの病型、病期の改善率を図に示します。たとえばIV型中期の方ですと、頭頂部では約60%の改善率です(60%の確率で軟毛、あるいは硬毛の新生が期待できる)。

病型別ではII型、IV型(頭頂部)で改善率が高く、I型、III型ではやや低いという結果が出ました。この理由は不明ですが、I型やIII型では他の二つの型より軟毛の残存が少ないためかも知れません。

病期別では意外にも中期、末期で改善率が高いという結果が出ました。この理由についても明言できませんが、たぶん初期のほうが病気の勢いが強いため、薬の効果が現われにくいのだと思われます。もう少し突っ込んで推測してみますと、初期ほど若い方が多く、若いほど男性ホルモンの勢いが強いので、栄養剤である桑白皮エキス、柿葉エキスだけでは不十分なのでしょう。ただし、新生毛が見られた場合は、初期で脱毛面積が狭いほど患者さんの「良くなった!」という実感は強いようです。頭の大半が脱毛という状態では、生え際に多少の発毛があっても大勢には影響ないのです。

ここでちょっと注意していただきたいのは、前頭部が評価の対象に入っていない点です。すなわち新生毛がみられたのは頭頂部のみで、前頭部では残念ながらほとんど発毛がみられませんでした。これはなぜでしょうか。頭頂部の脱毛は男女共通の現象であって、老化や動脈硬化による“毛の栄養失調”がおもな原因といわれています(もちろん、男性ホルモンも多少は影響しているでしょうが・・・・)。一方、前頭部の脱毛は男性特有の現象で男性ホルモンが強く関与しており、その治療には栄養剤のみでは不十分なためと思われます(男性ホルモンの作用を抑制する抗男性ホルモン剤を併用すれば、ある程度の効果が期待できるかもしれない)。

  1. 年齢別改善率

当科脱毛症外来を受診される方から、「もう六十歳ですが、手遅れではないでしょうか?」とか「年寄りですが薬はもらえるでしょうか?」という質問をよく受けます。つまり高齢者では育毛効果が期待できないと思っている方が多いようです。かくいう私も専門的に脱毛症の治療を手掛けるまでは、恥ずかしながら「若いほどよく生える」と信じていたのです。

男性型脱毛症の年齢別改善率
21〜40歳41〜60歳 61歳〜 
56%60%69%

ところが・・・・年齢別の改善率を見て下さい。改善率は高齢者ほど高くなっているのです。つまり、二十歳の方と六十歳の方がいれば、明らかに六十歳のほうが毛が生えやすいのです。これは驚くべき事実ですが、どうして高齢者ほど桑白皮エキス、柿葉エキスなどの栄養剤が効きやすくなるのでしょうか?

ひとつには男性ホルモンの影響が考えられます。若い人ほど男性ホルモンの勢いが強いわけですから、当然、治療には抵抗性です(治療の効果があまり出ない)。ところが高齢になると、男性ホルモンの勢いが衰えていわゆる“中性化”とも呼ばれる状態になりますので、育毛剤に反応しやすくなるのでしょう。もうひとつには高齢者では、脱毛の原因がおもに老化である点です。老化や動脈硬化の栄養失調には、桑白皮エキス、柿葉エキスなどの栄養剤がよく効くということでしょう。さらにこれは大きな理由ではないかもしれませんが、青壮年と比較して高齢者は時間的に余裕があり、規則正しく育毛剤を外用できることが良いのかもしれません。若い方はやれ二日酔いだの、出張だので、なかなかきちんと外用できないようです。

  1. 季節別改善率

秋の抜け毛ということばを聞いたことがおありでしょうか。夏の疲れからか、九月、十月初めごろに毛が抜けるものです。これは個人差が大きく、あまり抜けない人から、写真でもそれと分かるほど抜ける人までさまざまです。では、このような自然の抜け毛の変動が、育毛効果にどんな影響を及ぼすのでしょうか。育毛効果は一年中均等に得られるのでしょうか。ここではそんな皆さん方の疑問にお答えするため、季節別の改善率を出してみました。

男性型脱毛症の季節別改善率
1・2・3月4・5・6月7・8・9月 10・11・12月
60%65%45%60%

三カ月ごとにまとめてみると、四、五、六月に最もよく毛が生え、逆に七、八、九月には生えにくいことが分かります。すなわち、秋の抜け毛の時期にはどうも育毛効果も鈍るようです。この原因としては、

  • 夏期の体力の低下や過度の洗髪により毛がダメージを受ける
  • 紫外線や高温により頭皮がダメージを受ける
  • 発汗により育毛剤の吸収が悪くなる
  • などが考えられます。

私の住んでいる高知市は狭い町ですので、歩いて通勤する途中、何人かの脱毛症患者さんに会います。そして「おはようございます」と挨拶するわけですが、夏場など彼らの額からはまるで“シャワーを浴びたばかり”のように汗がしたたり落ちているのです。それを見て思わず「ウーンこりゃ効くはずないなあ」なんて思ってしまいます。もちろんこれは高知市という暑い地方でのデータですので、例えば北海道などの寒い地方出はまた、別の結果が出るのかもしれません。

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